■誰が相続人なのか調べる

相続人調査



相続人とは、法律上相続権のある人のことです。誰が相続人になるのかは、法律で定められています。具体的には、民法という法律の中の相続編というところで定められています。よく、相続関係の法律をまとめて「相続法」と呼んだりしますが、相続法という法律があるわけではありません。ちなみに、現在の法律では相続に関して、男女による差や、長男だから特別扱い、というようなことはありません。
昔は家督相続(かとくそうぞく)と言って例えば長男が優先的に相続をすることができましたが、今はありませんのでご注意を。

まず、亡くなった人(被相続人といいます)に配偶者がいる場合、配偶者は常に相続人となります
配偶者が相続人になるのに加えて、以下の人も相続人になります。
(配偶者がいない場合は、以下の人だけが相続人になります。)

@子がいる場合は、子。
A子がいない場合は、被相続人の父母(父母が他界している時は祖父母)。
B被相続人の子も父母・祖父母もいない場合は、被相続人の兄弟姉妹。

つまり、相続人のパターンとしては次の7つになります。

配偶者+@
配偶者+A
配偶者+B
配偶者のみ
@のみ
Aのみ
Bのみ

あなたの場合はどのパターンにあてはまるでしょうか?
注意していただきたいのは、@が1人もいないときに初めてAが、@・Aとも1人もいないときに初めてBが相続人になります。加えて、配偶者は@〜Bがどうであろうと、常に相続人になるのです。



★配偶者に関しての注意


配偶者は常に相続人になれるのですが、被相続人が亡くなった時に、法律上の婚姻関係(婚姻届出済)がなければなりません。内縁関係では、相続権はありません。また、被相続人の死亡当時、既に離婚していた場合も相続権はありません。たとえ50年間婚姻関係にあっても、亡くなる前日に離婚したとしたら、その相続に関して相続人にはなれないのです!
また、離婚して他の人と再婚した場合、再婚相手のみが現在の法律上の配偶者として相続人になります。

逆に法律的な婚姻中であれば、全くの別居状態で現実的には夫婦と言えない状態でも、相続権はあります。


★子に関しての注意


子は、実子でも養子でも同じ扱いです。さらに養子に関しては、生みの親・育ての親双方の相続権を持つことになります。つまり、養子として他家に託されたとしても、実親の相続人になり、養親の相続人にもなるのです。ただし、昭和63年より施行された「特別養子制度」で特別養子として出された場合は、実親の相続権を失い、養親の相続権のみ取得します。
制度として、特別養子は実際の親子関係により近い扱いとなっているわけです。

まだ生まれていない胎児にも既に生まれた子と同じく相続権があります。

また、子は前の配偶者との間の子であっても、実子に変わりありませんから扱いは変わりません。ただし、注意していただきたいのは配偶者の子で、被相続人とは血縁関係がない場合(いわゆる連れ子)の場合です。例えば、妻の連れ子の場合、妻が亡くなればその子は当然相続人になります。しかし、夫が亡くなった場合、その子とは血縁関係がありませんよね。従って相続権は無い、ということになります!
このように、連れ子には相続権は無い(!)のです。これは気の毒ですよね。

そこで、連れ子にも相続権を与えたい場合は、どうすれば・・・。

ズバリ、養子縁組です。
妻の連れ子の場合、夫がその子を養子にするのです。そうすれば、妻は実親、夫は養親。相続に関して実子と養子の区別はありませんから、その子は正式に妻と夫の両方の相続人になれるのです。

また、子には嫡出子(ちゃくしゅつし)と非嫡出子(ひちゃくしゅつし)があります。
嫡出子とは、法律上の婚姻関係にある夫婦から生まれた子。非嫡出子とは法律上の婚姻関係以外の相手との間に生まれた子のことです(例えば愛人との間で生まれた子)。

嫡出子、非嫡出子ともに子としての相続権はあるのですが、後に述べる「法定相続分」が違います。
単純に言えば、非嫡出子の相続の取り分は、嫡出子の1/2になります。
差別だ、と感じる方もいるかとおもいます。確かに人権上問題のあるところで、たびたび法改正の声が上がるようですが、現行法上は、このようになっています。

また、間違えないでいただきたいのは、例えば前妻との間の子は、離婚したとはいえ法律上の婚姻関係にあったときに生まれたのなら、嫡出子です。非嫡出子とは、あくまでも婚姻関係以外の間の子のことです。

 

遺言相続完全手続きマニュアル!に戻る

 

copyright 2002-2018 遺言相続完全手続きマニュアル!